―――この世界には突然変異で変化した動物達がいる。

大きく巨大化。かと思えば小さくなってしまった動物もいたりと、その変化は様 々だ。

一度変化してしまった動物は、もう二度と元の姿に戻ることはできない。

人々はその動物達を「Mutation Monster」と名付け、それを省略してM2と呼ん でいる。

M2は、普通の動物とは違う特別な能力を持っており、それを一時的に押さえ、

キーホルダーへと変えられるチェーンが開発された。

凶暴なのから大人しいのまで性格は色々だが、どのM2も、捕まえた相手の言う こと大抵は聞くのだった。

やがて人々は、お互いのM2でバトルするようなったのでした―――。

 

第一章

 

 

オレはサク。

明日は、待ちに待った旅立ちの日だ。

オレ等の年齢になると、ここ、レッカタウンでは古くからの言い伝えで旅に出な ければならない。

だが、外の世界には凶暴なM2がたくさんいる。

そこで、オレ達はどっかのお偉いさん方が選んだ3匹のM2の中から、一緒に旅 をするパートナーを選ぶんだ。

オレは昔からM2が大好きで、やっと自分のM2を持てることになり、今からす っごく楽しみだ。

 

―コツンッ

 

「?」

 

窓に何かが当たる音が聞こえる。

オレは不思議に思い、窓を開けて辺りを見る。 だが、外には何もなかった。

オレの気のせいか?

 

「よっ」

 

どこからか声が聞こえる。 オレの部屋2階。

もしかして―――

オレは急いで下を見た。 そこにはオレのよく知る顔があった。

 

「ツ、ツカサ!?」

「久しぶり」

 

下に居たのは、オレの幼なじみであるツカサだった。

オレ達は母親同士が仲良しだから、小さい頃はよく一緒に遊んでいた。

最近はすれ違いばっかりで、会う機会がメッキリ減ってしまっていた。

そんなツカサがどうしてここに?

 

「サク、散歩行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

「急に悪かったな」

「別に」

 

オレとツカサは、昔よく遊んだ湖のホトリにやってきた。

 

「でも、なんかあったワケ?」

「いや、この頃会う機会がなかったから、サクが寂しかろうと思ってね」

「寂しくなかったよ。……まぁ、確かにお互い忙しかったな」

 

少しの間沈黙が続く。 オレは、何を話せばいいかわからなかった。

 

「……正直、サクが来てくれるとは思わなかった」

「なんで?!」

 

驚きのあまり、オレはツカサを凝視してしまった。

どうしてオレが断るなんて、思ったんだろう?

ツカサは視線を下に落とし、気まずそうに言った。

 

「俺と話すことなんかないだろう……?」

「あぁ……。まぁ、ね」

 

確かに。 今更って感じもするしね。

大分会ってなかったから、気まずいっていうのもあった。

でも、

 

「……でも、オレはツカサが来てくれて嬉しかったよ」

 

明日から旅に出て、新しい世界を目にする興奮と楽しみがある反面、

ツカサやみ んなに会えなくなってしまうのはやっぱり寂しい。

だから、旅に出る前に会うことかできてホントに嬉しかった。

「……俺達は今でも親友かい?」

「当たり前だろ。これからもずっと親友だよ」

 

即答で答える。

いくら長い間会っていなかったからって、そう簡単に断ち切れる絆ではない。

そう思い、にっこりと笑ってオレは言った。

ツカサはオレの大事な親友。 嫌いになるハズがない。

何でそんなことを聞くんだろう?

……まっ、いっか。 オレは深く考えなかった。

 

「ついに明日なんだよね……」

「今更それを言うか?」

 

オレは波のない湖の水面を見た。

大きさは変わったが、どことなく昔の面影を残す顔が2つ移った。

 

「……そう言えば、2人して湖に落ちたことあるよな」

「あれはサクのせいだろ。足を滑らせて落ちたりするから」

 

オレを助けようとして自分まで足を滑らせたくせに……。

そのことを思い出し、苦笑いをする。

あの時は溺れるかと本気で焦った。

「遊び疲れてここで朝まで寝ちゃってた時もあるよね」

「あぁ―……。そう言えば、そんなこともあったね。それも一回だけじゃなくて 何回も」

「そうそう。オレん家なんか、最初の頃は帰った時すごい形相で怒られたケド、

だんだん回数を重ねるともう何も言われなくなった」

「俺だって変わりないさ」

 

特に母さんが。

朝起きて家に帰ると、リビングに母さんが居るんだ。

オレを見つけた瞬間に、母さんが般若に変わる。 あれは怖かった。

だって、あれを般若って言うことを幼いながらもわかったんだから。

それ位に怖かった。

 

「それにしても、今更なんで昔話?」

「なんとなく、かな。水面に移るオレ等を見てたら、いろんなことを思い出した から」

 

そう言うと、ツカサも水面を見た。

当たり前だが、やっぱりそこに移るのはオレとツカサの顔だった。

 

「多分、今が覚悟を決める時」

「だろうね」

 

オレ達は互いの顔を見ず、水面に移る自分自身を見ていた。

いい加減、覚悟を決めなければいけないんだ。

寂しさに負けそうだけど、オレは行く。

たくさん外の世界を見てみたいから。

 

「寂しいけれど覚悟を決めた。オレは、M2の四天王を倒して、M2マスターに なる為に旅に出る」

たくさんのM2達と会って、触れたい。 映像だけなら何回も見た。

だけど、まだ一回も会ったことも触ったこともない。

『ニセモノ』じゃなくて、『ホンモノ』がみたい。

 

「ツカサは……?」

「俺は……」

 

まだ覚悟が決まらない?

まぁ、オレと違ってツカサはあんまり外の世界に興味ないっぽいからなぁ……。

決断を迫るのは得策ではなかったカナ?

 

「俺は……。……俺も、覚悟を決めた。お馬鹿なサクに負けてられないからね。

お前よりも先にM2マスターになってやるさ」

「そうこなくっちゃ。負けないぜ」

 

ツカサの瞳に、強い意志を感じた。 もう大丈夫。

きっとツカサは、オレに渇をいれて欲しかったんだと思う。

……オレの勝手な想像だけどね。

 

「あっ!やべぇ、カバンどこしまったっかな」

「相変わらず妙なところでバカだな」

「一年中バカのサクには言われたくないな」

「なっ……。オレのどこがバカなんだよっ!」

「頭に決まっているだろ(即答」

「怒」

 

こうしてオレ達は、やっとスタート地点に立ったのだった。

だけど、これからはお互いに敵になる。

そんな簡単なことに、この時のオレはまだ気がついていなかったのだった。

 

 

 

 

‐あとがき‐

はじめまして、宵です

こんなヘボい小説を最後まで読んで下さった方々、ありがとうございます

そして、ごめんなさい(泣/謝

書き終わり、読み返した瞬間・・・

「M2マスターって何?!」 と叫び、爆笑(ォィ

刹が隣でナイスツッコミをいれてくれました(ぇ

それにツカサ・・・ 何こいつ(ぇ

クールキャラじゃねぇ

こんな小説ですが、見守って頂けると嬉しいです

長々とお読み下さりありがとうございました